本研究室の学生がESEM2026で研究発表を行いました
本研究室の白川さんと吉本さんが,2026年にドイツ・ミュンヘンで開催された実証的ソフトウェア工学に関する国際会議 The 20th ACM/IEEE International Symposium on Empirical Software Engineering and Measurement (ESEM 2026) において,下記の2本の論文を発表しました.
ESEMはソフトウェア工学の実証的研究に関する国際会議であり,今年で20回目の開催となるトップカンファレンスのひとつです.白川さんと吉本さんが投稿したTechnical Paperでは,去年の投稿数より75%増加し,269本の投稿のうち51本の論文が採択されました(採択率18.9%).

Ayane Shirakawa, Tatsuya Shirai, Yutaro Kashiwa, Masanari Kondo, Yasutaka Kamei, Hajimu Iida, “Test Alert Snooze: An Empirical Study of Consecutive Test Failures on CI”, In Proceedings of the 20th ACM/IEEE International Symposium on Empirical Software Engineering and Measurement (ESEM 2026)
白川さんが発表しました.本研究では,継続的インテグレーション(CI)におけるテスト連続失敗の実態やそれに関連する開発者の行動を明らかにするために,同一のテストメソッドが2つ以上の連続するリビジョンで失敗し続ける状態をTest Alert Snoozeと定義し,Test Alert Snoozeの発生率・継続期間・開発者の行動を実証分析しました.その結果として,Test Alert Snoozeは全27件のOSSプロジェクトのうち4件(約15%)が発生していました.その4件のプロジェクトに着目すると,全体の61.1%が2リビジョン連続で失敗し,全体の52.9%が1日以内で解消されたことが明らかになりました.また,CSSタイプを用いてリビジョンを分類して開発者の行動を分析した結果,Test Alert Snoozeが発生中はドキュメントが修正される傾向が高く,解消時にはテストが修正される傾向が高いことが判明しました.(LIPIcs.ESEM.2026.24)

Suzuka Yoshimoto, Kosei Horikawa, Daniel Feitosa, Yutaro Kashiwa, Hajimu Iida, “Is Self-Admitted Technical Debt Tested? An Empirical Study of Coverage, Co-change, and Impact”, In Proceedings of the 20th ACM/IEEE International Symposium on Empirical Software Engineering and Measurement (ESEM 2026)
吉本さんが発表しました.本研究では,TODOやFIXMEコメントなどで明示された技術的負債(Self-Admitted Technical Debt,またはSATD)とテストの関係を明らかにするため,8つのJavaプロジェクトを対象に分析しました.具体的には最新リリースに含まれる784件のSATDのテストカバレッジや,5,175件のSATD解消時のテスト追加有無とバグ導入率を調査しました.その結果,SATDを含むコードの60.7%は既存テストでカバーされていた一方,SATDの解消時に修正部分を対象とする新しいテストが追加されたコミットは3.4%にとどまることが明らかになりました.また,SATD解消時のテスト追加の有無による30〜180日後のバグ導入率には大きな差は見られませんでしたが,より長期的にはテストを追加した場合にバグ導入が高くなる傾向(6.32% 対 4.37%)が確認されました.この結果から,開発者はSATDの解消を高リスクな保守作業としてではなく,通常のコード変更として扱う傾向が示唆されました.(LIPIcs.ESEM.2026.36)